昔のアルバイト
2020年 06月 21日
スタジオから中野まで
徒歩13分くらいなので、
散歩がてら、中野に時々買い物に行く。
そして、中野駅前のシンボル的な三角形の建物、
”中野サンプラザ” が目に入るたびに
昔、このサンプラザで散々お世話になっていた
懐かしい時代を思い出す。
中野サンプラザは、地下にトレーニングジム、
1階は大コンサートホール、ボーリング場、
上はホテル、そしてレストランがあり、
さらに結婚式場まである。
そう、ここで私は、20歳台の6~7年間、
地下のトレーニングジムで仕事をしていた。
トレーナーをしながら、ご婦人たちを
対象とした美容体操クラスを担当し、
あの時代、アメリカから日本へエアロビクスが
入ってきたので、美容体操の内容から
エアロビクス指導者へと変化していった。
もちろん!この仕事も
「フラメンコのレッスン代」を稼ぐためだ。
エアロビクスのクラスを何クラスも受け持ち、
いつも1クラス、30~40人のご婦人たちに
乗りの良い曲をガンガン流しながら
有酸素運動と呼吸に少しの負荷をかける動き、
筋力アップ、柔軟性アップを練り込んだ内容を
日々、指導していたので、
あの時代は体が完全に体育会系の身体で、
バキバキに出来上がっていた。
リズムに合わせて腹筋のバリエーションを
やると、腹筋だけでも1クラスで150回ほどで、
1日3クラスやったら腹筋450回。
当然、その他の筋肉も同じにやらねばならぬ。
それを、ワン!ツー!スリー!フォー!なんて
(この英語のカウント、今は恥ずかしいなぁ)
マイクなしの地声でカウントしながら実演するので、
そりゃ筋力もバキバキにつく。
あんな体でフラメンコを踊っていたのだから、
踊りの質も、体育会系だったはず。
あ~~恥ずかしい!思い出したくもない!
その話は置いといて、、、
ある日、トレーニングジム課長が、
ハイレッグのエアロビクスの格好をしている
私に声をかけてきた。
「おい、カマタ、おまえ、巫女さんやるか?」
課長いわく、上の結婚式場の神前式の方で、
巫女さんのアルバイトを探しているとのこと。
こんな貴重な経験が出来るチャンスはめったにない!
てなことで、即答。
「課長! やるやるやる!やりまあ~す!」
それからは、地下のジムで汗ドロになって
エアロビクスをやり、終わるやいなや、
レオタードを脱ぎ捨ててエレベーターに乗り、
上の階の式場に走り込んで
巫女さんの着物に着替えて、
神聖なる結婚式のお手伝いをする、
という、実に変な仕事の組み合わせが始まった。
こう書くと、軽いノリでやってるみたいだけど
新郎新婦にとっては一生に一度の重要な式典、
二人の結婚式が無事に行われるよう、
巫女として、陰の力添えが出来るよう、
エアロビクスを直前までやってたヤンキー心を捨て、
大和撫子の、”清らかな緊張感” を持って、
一生懸命、心を込めて務めたのでござりまする。
新郎新婦が神前式場に入った時の姿は
神聖で、清らかで、初々しくて、、、
ああ、これから幸せになってほしい!
と、巫女の私が感極まっちゃって
毎回、泣きそうになってしまった。
式典の仕事をしていると、様々なことに出くわす。
よくあったのが、花嫁が極度の緊張と
重い着物&重い角隠しで全身が締め付けられ、
式場に入場した、その瞬間に
ゲロゲロ~!をやってしまうパターン。
心待ちしていた親族一同は凍り付く。
それよりも、何が凄いかって言うと、
ゲロ~!と、花嫁の口から液体が
飛び出した直後の展開。
その光景はまるでバレーボールの試合と同じ。
花嫁が、ゲロ液を口から放出したその瞬間!
”超高価な白無垢の花嫁の着物、
ゲロは死んでも付けさせませぬ!” と、
中野サンプラザの着物を着た2人の世話係が、
昔の「サインはV」の「X攻撃」(古い!)
のように、花嫁の胸元に、驚くべき速さで
左右からジャンプの飛び込み~~!!!
その瞬時に、左右から伸びた4本の手には
すでに雑巾が握られているではないか!
あ~~っ!あと1㎝でゲロが着物に!!!
という、正に、ギリッギリの瞬間に、
見事!!!ゲロをアタ~ック!!!
いや、レシ~ブ!!!
ホントに、一滴も白無垢にゲロを付けない
お見事な連係プレー。すげ~~~👏👏👏
そうそう、緊張で新郎が気を失うと時もある。
そのほか、可笑しくてよく覚えているのが、
神主さんが祝詞を挙げている時に、
神主さんの何かが、花嫁の家族の笑いのツボに
はまったのか、、、最初に花嫁の妹が笑い出し、
でも神聖な式典では笑っちゃいけないので、
死に物狂いで我慢。
その横で、花嫁の姉が、笑いをこらえている
妹につられて吹き出し、それにつられて、
花嫁の母親が吹き出し、
もうそうなったら笑いは止められない。
「笑っちゃいけない」と思えば思うほど、
彼女たちのツボを刺激し、
母姉妹の3人で顔を真っ赤にして全身を震わし、
顔クシャクシャ、涙ボロボロ、
たまに出てしまう、ンヒ~ッという
笑いを我慢するうなり声。
それでも神主さんは知らん顔で式を進め、
新婦はうろたえ、新郎は横目でにらみ、
新郎の家族は全員ドン引き。
もう、カオスのような結婚式。
ありゃホントに面白かったなぁ。
他にもたくさんあるけれど、
手が止まらなくなるのでここでストップ。
エアロビのレオタードを脱いで、
エレベーターに駆け込む私の姿を見て、
トレーニングジム課長が、
「カマタ~~、お前を見ていると、
現代の縮図を見ているようだ」
と、ニヤニヤしながらよく言ってたっけ。
巫女さんという貴重な体験。
一生忘れられませぬ。
6月21日
by amicielo33 | 2020-06-21 21:53