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フラメンコ編 エッセイ1「感じることの難しさ その2」

毎日毎日、コロナ感染のニュースでうんざりするけれど、

芸術・文化に関わる人間たちの生活がどれだけ大変かという事を、

国は、こういう時になかなか考えてくれないものだ。

なぜなら、芸術と現金がイメージ的につながらないからだと思う。

そして芸術分野の中で、フラメンコなんてゼロに等しい存在だけど、

スタジオ経営とクラス指導をしている人たちは、

このコロナのせいで、先月末から全てのクラスは休みにして

収入はゼロの人がスゴイ数でいるはずである。(私も!)

収入がなくても、高いスタジオ賃貸料や維持費を

払い続けなくてはいけない。大赤字だ。

補助金や保証金をもらえばいい、と簡単に言うけれど、

政府が、こういうちっぽけな教室やスタジオ経営者相手に、

そう簡単には、必要とする金額を出してくれるとは思わない。

こうして、収入がない我々が、仕事を止めて、ただひたすら耐えて、

コロナの収束を待ち望んでいる中、

赤字になるからと、人が密になる場所なのに経営を続けたり、

ホームセンターやスーパーで、大量の人が密になって

買い物をしいていたり、日本国民のあまりの危機感の薄さに、

心からの憤りを感じてしまう。

外出自粛を、たとえこの1ヵ月間、大きな赤字経営になっても

(収入ゼロ+大赤字で我々は耐えているんだぞ!)何がなんでも

全員で腹をくくって一斉に協力しない限り、

感染はどんどん拡大して、感染者がさらに増え続け、

医療崩壊だってどの病院も当然起きて、

ずっとずっと負の連鎖が続くはずだ。

感染への危機感の薄さ対して苛立たしい気持ちで一杯だ。


コロナさえ収束すれば、

以前のように思い切り仕事ができる時が必ず戻ってくるのだ。

それまで1ヶ月でも、国民、都民、全員で我慢しようよ!

今は全員で歯をくいしばって外出自粛に協力して、

お金より命! だから「感染を止める」ことだけに

なんとか考えを持っていってもらえないだろうかと懇願する。

そして、政府に一言。

芸術家たちだって、企業や飲食店と同じに、

めちゃめちゃ辛くて大変なんだぞ~~!!!

どれだけ辛いか知ってほしい。

とにかく、みんなで感染拡大をなんとか止めなきゃ!!!

                   4月15日


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「感じることの難しさ その2」

スペイン人は感情表現が激しい人種だ。
感情を表にそれほど出さない日本人とは180度異なり、
思ったことをすぐに〝言葉” と〝顔” に出す。
喜怒哀楽が実にハッキリと見える。
フラメンコのクラスにしても、先生の教えることに
打てば響くように、生徒は即、顔なり行動なりで反応する。

しかも、スペインの人たちの顔立ちはとても濃い。
濃い顔だから表情がより大きくなる。
ほんのちょっと目を開いただけでも驚いた顔になるから、
本気で驚いたときは眼玉全開、口全開。
それを見て、つられてこちらまでも驚いた顔になる。
特に目の表情が強い。
さらにフラメンコをしている人は感性が強く、
加えて、一番日本人が苦手とすること、
すぐに何かに〝なりきる” ことが出来る。
ナルシスとでもあるから、悲しいものを踊っていて、
心から悲しい!と感じたら即、悲劇の真っ只中の
〝瞬間” に入り込んじゃうことができるのである。

それだけじゃない。
赤ちゃんの時から朝から晩まで「ウチの子は世界一
美人で世界一素晴らしい」と親に言われて育つから、
人前に出ても物怖じしない。
大人顔負けの話やマネを大人の前で平気でして、
大人も子供を大人扱いする、そういう環境で育つので
〝なりきって恥ずかしい” ということは感じないようである。

こんな一部だけをとっても、あなたがこらから
やろうとして(すでにやって)いるフラメンコの母国は、
日本人とまるっきり違う文化を持った国だということが
わかると思う。フラメンコ舞踊はそのなかで生まれたのだ。

かといって、スペイン人のようにマネをしろなんて
絶対に口が裂けても言わない。
環境がまったく違うから、マネしたところで
みっともないだけだからだ。
余談だけど、スペインの人たちのように振舞ったり、
表情のマネをする人をときどき見かける。
本人は喜怒哀楽を激しく出し、大袈裟なジェスチャーで
スペイン人ぽく振舞っているつもりらしいけど、
これは端から見て見苦しい。
だって、昔からその人を知っている人や、たとえ
知らなくても、その姿はスペイン人から見ても、
日本人から見ても、人間が変わっちゃって見えるからだ。
その人本来の自然体で振舞わないと、人って不思議なもので、
どうやっても不自然に感じてしまうのだ。

また、こんな例もよく目や耳にする。
スペインに時々いるんだけど、チトいきすぎの
日本人留学生のパターン。
他の日本人がそういう子に話しかけたら、いつも
大袈裟な身振り手振りで、しかもスペイン語でしか
返答しないのだ。これって、どう思いマス?
スペイン人が日本人の歴史、土壌、環境、そして
国民性を本当に理解しないでいきなり日本人のマネを
したところで、そんなに簡単に日本人になれないって!
それと同じでしょ?
あれ、話がちょっとズレちゃった。

で、話を元に戻して、
せめて、せめてですヨ!
ドン!(思わず机を叩く私)
フラメンコ舞踊を踊りたいのなら、
練習生の時から、クラス中も自習中も、
「心で感じたことを顔に素直に出す」ことをしないと。
無表情な人は、そういう小さな習慣(訓練?)
の積み重ねで、やっと生き生きした顔に
なってくるというもの。
さらにフラメンコを勉強してフラメンコの意味、
各曲の歴史、背景を理解してくると、
表現や表情に本人が意識しなくても、もっと深みが
自然に出てくるようになるのだ。

とはいえ、悲しい曲だから悲しい顔を、楽しい曲だから
楽しそうな顔をしろ、ということでは絶対にない。
そこがフラメンコの深さと難しさ。
悲しい曲の裏には、日本の人には想像できないような、
厳しい歴史や感情の背景がある。
楽しい曲の背景にもさまざまな歴史や人間性が
隠れている。それを理解して踊るのが、
フラメンコ舞踊の面白さでもあるのだ。

そうしたものを表現したり表情に出したりするのに、
ポーカーフェイスじゃ、ねえ。
あまりにも空しいじゃござんせんか。
クラス中でも自習中でも、
足を思いっきり一発、踏んじゃった時、
「ギャアッ!」という悶絶の顔を思い切りすればいい。
ブラソの練習をしていて難しい、と思ったら、
「あ~!できない!」と苦悩の顔をすればいい。
新しい振付をもらったら、振付けや技術のことだけ
考えないで、正直に「難しいヨ~!」とか、
できなくても楽しいと持ったら、単純に
「楽しいナァ!」など、感じていることを
顔がクシャクシャになるまで出してみたら?
そして大きな声で言葉にも出してみたら?
そして、クラスでわからないことがあったら、
陰で友達に「わかる?わかんな~い」じゃなくて、
先生に「ここがわかりません!教えてください」と、
どんどん聞かなきゃダメなのだ。

だから、せめて、クラス中の
ポーカーフェイス(無表情)はやめようヨ!

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by amicielo33 | 2020-04-15 16:01  

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