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〝フラメンコの勉強” のススメ 続編

今日も頑張って書き写します!

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では、ここでどんな勉強をしたらいいのか、
具体的に説明しましょう。
『フラメンコの勉強』とは、まず、第一に
スペイン語の理解から始まります。
スペイン人のように話せなくても、少なくとも
何をいっているのかがしっかりと理解でき、
自分の意見がいえればそれでかまいません。
他国の文化の歌と踊りを理解するには、
その国の言葉がわからないと、何を歌っているのかが
わからないからです。
しかし、フラメンコの踊りは歌詞に対し、
それを説明する具体的な振りを踊るわけではありません。
かといって、歌の意味がわからないと、歌が伝え、
訴える内容、歌の背景が理解できません。
一番フラメンコで大切な、【歌を感じて、さらに、
その瞬間にすべての感情をこめて熱唱する歌い手の
感情、コンパス、歌いまわしに踊り手がついていく】
このことに対応できません。

加えて、スペインはアンダルシアの人々の人間像、
何を彼らは話し合い、どういうことで笑い、
泣き、怒るか。深く人々の会話を知れば、
その土地の文化が生まれた背景を知ることができます。
全てが一本の線でつながっているのです。
会話が理解できるようになると、その土地の環境、
食生活、歴史などがあるからこそ、このような会話を
交わす人種が生まれたことが理解できます。
逆のこともいえます。
これらの理解と、その環境に入る、という体験が
大まかな第一歩になるのです。
環境に入る、とはスペイン、特にアンダルシア地方に
住むことですが、これは個人的、時間的、経済的理由
などで、そう簡単には実行できるものではないでしょう。
そのうえ、ただ長く向こうにいればいい、
というものでもありません。
自分が勉強したいもの、という目標をきちんと持ったうえで、
たとえ短期の旅行でも、できるだけ繰り返しスペインに
行き、経験をするだけでもかなり違ってきます。

こうした大まかな背景をつかみながら、カンテ(歌)を
徹底的に聴きこみます。
ここが特に重要なポイントですが、心から好きでないと
カンテはなかなかな繰り返し聞くことができません。
カンテのなかにはフラメンコのすべてのエッセンスが
濃縮されているので、これをわかって楽しめるように
ならないと、本当の意味でカンテを聴く、
ということにはなりません。
聴かなくては!と思って、焦って手当たり次第、
カンテを無理に耳に入れても〝好きでない” と
苦痛になります。
そんなときは、たった一つの歌でかまいません。
カンテ好きな人にどれがいいかを選んでもらい、
その歌詞の意味を知ってください。
そして繰り返し聴いてみる。
どうしても好きになれないなら、もっと自分の
フィーリングに合った1曲を選んで(ノリがいい、
とか、楽しい、で十分です)同じように
歌詞を理解して、繰り返して聴きましょう。
こうして好きな歌を増やしていきます。
負担に思って聴かない、ということが大切な
ポイントなのです。

同時に、日本人の先生からはもちろんですが、
日本にいるときでもチャンスがあれば、
良いスペイン人の踊り手の先生にも習うこと。
習っている日本人の先生からは、舞踊の基本や
その先生が持っているフラメンコエッセンスを
どんどん吸収しましょう。
日本人の先生には、わからないことがあったら
日本語でしっかりと説明してくれるという
最大の利点があります。遠慮しないで質問しましょう。
また、準備してくださる発表会などのチャンスも
生かすこと。日本人の先生は教室制度で自分の生徒を
持っているので、長い目で〝愛情” を持って
生徒を指導して伸ばしてくれます。
この点が短期で来て教えてくれるスペインの先生との
大きな違いです。

そして、スペインの先生からは振付だけを習うのではなく、
その振りのなかに含まれている〝スペインにしかない
フラメンコエッセンス” を徹底的に学ぶこと。
たとえば、〝この音はどういう感覚と質で表現するか”
〝コンパスの持っていき方とコンパス感”
〝先生が踊るときに感じられるアイレ(独特の空気と
雰囲気)” など、そこから学べることはたくさんあります。
とはいっても、先生によっては、日本での団体クラス
などでは細かく説明してくれないようです。
これは、日本の生徒たちに内容を理解できる語学力を
持つ生徒が少ないからです。
スペイン語ができないと、こういった一番大切な
チャンスまでも逃してしまうというわけです。

そして、実力がついたら、できるだけ良いスペインの
アーティストたちとともに実演するのが最高の
勉強法でしょう。実際にカンテを聞き、そのカンテに
ついていく実戦の場として、カンテと踊りのからみ、
さらに歌・ギター・踊り手のコンパスの乗り合い、
三者の誘導のし合い、などを勉強すること。
これも絶対不可欠な勉強です。
特に、歌い手は人間ですから、そのときどきの
感情、思い入れなどで歌い方が全く変わってきます。
踊り手はその歌に必ずついていかなくては
いけません。
歌い手がどう出るか、というのは、踊り手に
知識がないとついていけず、また即興的な転換
ができず、歌を完全に無視したとんでもない
踊りになってしまいます。
踊り手がギターと歌い手のアウンの呼吸で
ついていきながら、同時に引っ張っていく役目も
果たします。日本では発表会などで、”カンテを
踊りに無理やり合わせる”というとんでもないことを
する場合を見かけますが、これは完全にフラメンコを
無視した、歌い手にたいへん失礼なことです。
「(特別な意図した振付構成以外は)カンテに
踊りがついていかなくてはいけない」のです。
そのためにはカンテの知識を多く持っていなくては
いけませんし、カンテの意味も知らなければ
なりません。勉強範囲がどんどん広がっていくのです。
これは本当に難しいことですが、フラメンコを勉強
するからには避けて通れない道といえます。


ここまではカンテと踊りばかりを中心に書きましたが、
ギターの存在もなくてはならないものですから、
カンテ同様に絶えず意識してギターとのからみも
勉強していかなくてはいけません。
そうしたらさらにフラメンコへの理解が深まり、
耳が肥えてくると、コンパスも取れ、音と流れの
意味がわかってくるようになります。

ここでいう音と流れの意味とは、
サパテアードに限らず、振りでも、
「各コンパスの中で、アクセントを含め、
どの音をどう感じて出せばフラメンコになるか」
「どの音が一番重要か」
「そういう音を持ったコンパスをどのように
運べば流れがフラメンコになるか」
といったことが理解できるようになるということです。
こうした、音とコンパスと流れを理解しないと、
たとえばサパテアードをきれいに打っても、
たとえキレのいい動きをしても、(私個人の
意見ではなく)フラメンコの世界での決まりで、
フラメンコにはならないのです。
たいへん難しいことですが、これも重要なことです。

加えて、一つ一つの〝振り”の流れにも意味がある
ことが少しずつ理解できるようになります。
踊る本人が、コンパス感、センティード(音の
感覚)、音の流れの意味、振りの意味、などを
理解して踊れるようになったら、見る側にも
十分に説得力を与えられます。
こうした大きくて太い土台がしっかりしているからこそ、
その土台に、瞬間の感情をストレートに打ち込むことが
出来、なおかつ見て聴いている人々に感動を与える
ことができるのです。
フラメンコはショーのように見せる踊りではなく、
踊る本人がいかにフラメンコを理解して、
それを感じて踊るか、にあります。
理解できるまで本当に時間のかかる難しい文化です。
外国人が日本文化を簡単に理解できないことと
同じだといえるでしょう。
日本の伝統芸能を身につけるため、多くの外国人が
日本に住み、日本人以上に日本文化を大切に愛し、
勉強している姿をよくテレビなどで見かけますが、
日本人として心から感心し、嬉しくなってしまいます。
それと同様、私たちも、少しでもスペインの文化に
近づこうと思ったら、長い道のりを勉強するしか
ありません。本当に心から好きになれば、
どんなに辛いことも苦にはなりません。
私は長くスペインに住んでいますが、まだまだ
フラメンコの勉強不足を思い知らされ、未だに
迷いながら勉強を続けている有様です。

この本はあくまでも技術訓練の、それも最初の一歩を
お手伝いするレッスンの本です。
しかし、この予備知識を持ち、技術を勉強しながら
フラメンコに興味をもっていただけたら、
踊りにもどんどん深みが増していくと思います。
やるからには、少しでも深みのある良い踊りが
できることを目指し、第一歩からきちんと勉強を
始めましょう!
最初に正しい基本を身につけて肉体訓練をしていけば
フラメンコを勉強するにあたって、さまざまな部分で
必ず役に立ちます。

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と、どえらく長い内容でしたが、

理解できない!と言う方がいらっしゃらない事を願うのみです~。


私がセビージャに住んで勉強した昔のフラメンコって、

「カンテの存在」をとっても重要にしていたと思う。

だから、こういう文章を書いたのだけど、

カンテそのものは、アンダルシアでは、私のいた時代では、

踊りよりカンテが好きな愛好家たちの数がはるかに多く、

常にいたるところのペーニャで、カンテだけを披露していたし、

そして踊りが加わると、観客も愛好家たちも、

踊り手のカンテとその曲の味に対する感情表現を楽しみ、

さらに、女性ならではの踊りも愛し楽しんでいた。

だから、踊り手それぞれの個性が溢れていたんだと思う。

習う側も、カンテを常に意識して、カンテに対して踊る、

という意識を常に持っていた。



それに対して日本では(以前からだけど)

カンテの重要さはほぼスルーと言うか、無視で、

どれだけ技術を盛り込んで上手く踊れるかが重要。

そして今の流行は、フラメンカなコンパス感たっぷりのパソを、

即興性で次々に対応して楽しむのが主流となっている。

この今の流行に関しては大変面白いし、

プーロなフラメンコを勉強できるので

とっても良いことだと思う。



でも、、、失礼は百も承知で言うけれど、

(スペイン人に引けを取らない素晴らしい日本人の歌い手も

数人いらして、同じ日本人としてとても誇らしいけれど)

カタカナスペイン語で、コンパスがなく、

オペラ調、演歌調に歌うカンテに対してでも、

何とも思わずに、違和感も感じずに踊れちゃう踊り手って

私からしたら、

わぁ、

変だとも何とも思わないで踊れちゃうんだ、、、

まぁ、踊りながらカンテを全然聞いてないから
気にならないんだろうなぁ、、、

日頃、カンテを全然大切にしてないんだなぁ、、、

と、呆れてしまう。

そして歌い手に対しては、

【フラメンコでは一番大事なものはカンテ!】と

学び、長年にわたりスペインのカンテに対して、

尊敬の念を抱いてきた身としては、

ひっどいカンテを歌っても、ちゃんとお金をもらって

プロとして仕事しちゃう、そういう感覚に、

驚きと、ちょっとの悲しさと怒りを感じてしまう。

と、長々と愚痴を書いてしまいました。スンマセン!



で、話を本の内容に戻して、

この後、写真付きの、基本姿勢、立ち方、

サパテアードの足使い、ブラソの動かし方、

ブエルタの方法、などを細かく書いてあるけど、

私が書いたんだけど、読むのも超めんどくさい説明。

もちろんこれらはすっ飛ばして、

明日からは、エッセイを書き写します。

こっちのほうが気楽で面白い(と思います!)ので

お楽しみいただけたら、と願っておりまする!

ではまた明日!

                  4月6日







by amicielo33 | 2020-04-06 01:27  

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