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    おお、、バタ・デ・コーラ

9月と11月に、私の愛するフラメンコへ、全ての想いと気持ちを込めて、

ミニ劇場で、ミニステージをやる予定と、お伝えしている。



そう、なぜか今年の私の頭と心は、競馬の馬のように、

両目サイドから、視野に仕切りがされていて、周りをいっさい見ず、

お声をかけてくださった数々のお仕事を全てお断りして、

ひたすら、一点しか見ていない。

その一点、というのが、「私が恋い焦がれていた時代のフラメンコを踊る」、という事。




27年前、セビ―ジャに留学し始めた頃、セビージャのフラメンコは最高の時代で、

その最高のアルテを、私は実際に肌で感じて、見て、聞いて、

そして、激しく強く恋い焦がれ、いつの日かこんなフラメンコに近づけたら・・・と、

そんな日が来ることを夢見ながら、

でも、実際は悪戦苦闘の日々で、寝ても覚めてもフラメンコ漬けの生活を送っていた。



そんな時代の自分と、セビージャのフラメンコが異常なくらいに懐かしく感じられて、

それならば、挑戦してみっか!と、乗り出したわけだ。



劇場も、私が求めていた、舞台と空間がちゃんと広い劇場で、

でも、客席がうんと少ない、不思議な劇場がラッキーにも見つかった。

カンテのディエゴも、今回の私の舞台には 理想的な歌い手であり、

そしてギターのノリさんも、カンテと踊りをサポートしてくれるベテランで安心。

音響も照明も、何十年とお世話になっている方々で、

私の決まりセリフの、「あたしゃ金がない!」 を今回も連発し、

値切りに値切りあげて、それを、神のような心で承諾してくださっている。



こうして、お膳立ては全て済んでいるので、

一番大事な、私の踊りの中身を今からコツコツと取り掛かっているのだけど、

まず一番やっかりな、バタ・デ・コーラとの悪戦苦闘の日々が続いている。

バタ・デ・コーラとは、フラメンコの衣装のスカート部分が長い、典型的なフラメンコの衣装だ。



今は、プロの踊り手はみんなバタを着て、わりと楽に踊ってしまっているけれど、

私の師匠であった、「バタ・デ・コーラの女王 ミラグロス・メンヒバル」 のバタは

まさに、魔法のバタだと今でも思っている。

今の時代、バタを着て踊る人は、ガンガンとバタを乱暴に蹴って、

まるで、闘う相手が身にまとわりついてきているのを振り払うような感じで扱って

踊っているように見える。



でも、ミラグロが最盛期の頃、(今は太っちゃって、見る影もない別人)

バタとミラグロが、場面場面で主役の座が変わり、

ミラグロが主役を踊っていたかと思うと、突然、バタが主役となって、

バタが生きていて、まるでフラメンコを踊っているように見える、そんな踊りだった。




普通の踊り手は、人間の動きがコンパスに入って、

それに伴ってバタが踊り手の後を追って動いてくるのだけど、

ミラグロに教わったバタは、バタが独自に動いて、

バタ自らがコンパスにどんどんと入ってくるように見える。

つまり、このようにするには、人間はコンパスの決めの音の前に

微調整してバタの扱いをしないと、バタがコンパスに入らない。

そこが、至難の業なのだ。



私は、どんなに辛い練習も、絶対に根をあげず、

絶対に屈しないで、やり遂げるタイプなんだけど、

バタだけは、あまりの難しさに、私のフラメンコ人生の中で何度も心が折れて、

何度も降参の旗を振って、諦めた経験がある。



そう、バタの技術を、死にもの狂いで何年もかかってマスターしたところで、

いざ、踊りになると、そのバタの技術ばかりが目についてしまう、

一番いけないパターンになってしまったのだ。

バタと踊り手の共存がなく、心の絡み合いもなく、踊っているその曲の味が出ず、

つまり、フラメンコを感じさせられなかったからだ。

だから、何度も諦めて、私には一生バタは踊れないと思っていた。



でも、あの時代、セビージャでバタを着る踊り手は、正にフラメンコの女王であり、

マティル・デ・コラルから発生した、女性ならではの、

フラメンコを、女性の気品と優雅で味付けをして踊れる踊り手、というのが、

スペインの踊り手の中、そしてヒターナの踊り手達にとっても、憧れのものだった。

私は、そのトップの人、ミラグロに憧れぬいて、

師匠として何年も習って、強く影響受け続けたんだから、

そりゃ今でも私の心の中は、あの時代のミラグロが焼き付いているのだ。



これだけ、すんごいバタの説明をして、

それをおくがましくも、 「私はそれを踊りたくて 今、頑張ってマ~ス!」

なぁ~んてよく書けるなぁ、と、自分で呆れて冷や汗が出る。

そう。 出来ないのは百も承知だけど、挑戦したい気持ちだけは1000倍あるので、

とにかく毎日毎日、また昔に戻って、悪戦苦闘をしているのです、

という事を今回は書きたかったのです。



今回も短く予定だったけど、やっぱバタの話になると、スイッチ入ってガーッと書いちゃた。

ちょこっと、小出しに書く、というのがどうも苦手なんだなぁ。

Facebookも いよいよやんなきゃいけないし、(私に出来るか心配!)

あれこそ、「ちょこっと小出し」 専門だよね。

きっと出来ないよ~。 困ったもんだ。008.gif


                                  6月7日

by amicielo33 | 2015-06-07 18:00  

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