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    ‶ 受け継ぐ” ということ

確か30年以上前の、1980年代半ばに観た舞台だったと思うけれど、

アルヴィンエイリー・アメリカン・ダンスシアターの設立者である、

アルヴィンエイリーという黒人の振付家が、舞踊団を設立して来日公演をした。

ダンサー全員が黒人。

そして彼の代表作の、「リベレーションズ」という作品集で、

全て黒人霊歌の曲で踊られた。

今の時代から見ると、技術的には古いテクニックが多々あるのだけど、

そんなことよりも、黒人霊歌の魂の叫びが、

彼らの肉体を通じて客席に身を刺すように伝わり、

彼らの血からほとばしるように出るエネルギーに、

息をすることも出来ないくらいに圧倒された。

公演が終わって、生まれて初めて受けた黒人霊歌を通して感じた衝撃と、

彼らの美しい肉体と、肉体と対照的な、

まぶしいほどの純白の衣装の意味と神聖さに感動して

しばらく身動きが出来ずに、客席を立つことが出来なかった。



その後、不幸な事にアルビンエイリーは亡くなり、

数年経って、再び同じ作品を掲げて、アルビンエイリー舞踊団が来日した。

私はあの舞台の感動が忘れられず、もちろん観たくて、

心から楽しみに舞台の日を待ち望んだ。

そして、「リベレーションズ」の同じ作品を見た。

しかし、全く振付けも曲も全て同じものを演じても、

ここまで違うものなのかと、唖然としてしまったのだ。



「、、、魂が、な・い・ん・だ、、、」と感じたのだ。

こんなにダンサーたちは全力で踊っているのに。。。

作品を見ながら、アルビンエイリーになんか会った事もないのに、

彼が全身全霊で、彼の舞踊団の人たちに、一つ一つ振付けながら、

彼の考える、一つずつの振りへの想いと、意味と、心と魂を、

彼が踊りながら、時には言葉で説明して、

舞踊団全員に「生の声で」伝えているの場面が、目の前でありありと見えてくる。

実際は、劇場で舞台に目を向けているのに、舞台上で今踊られている踊りも

ダンサーも目に入らず、妄想の、目の前のアルビンエイリーが

振付けて、彼の魂を直接に伝えている姿だけが見えて仕方なかった。

説明はしないけれど、20世紀バレエ団のベジャールの時も、

彼の死後、作品が存続しても空になったように感じてしまう。

だから、形を受け継いでも、それに魂があるかないかが、

不思議な事に、見ている者に伝わるんだという強い衝撃を受けて以来、

”受け継ぐこと” についてもの凄く考えるようになった。



こんな事を書いても、読んでいてピンとこないと思うので、

ザックリ超身近で簡単な例で説明すると、

フラメンコの踊りでも、何のジャンルの踊りでもいいけど、

振付けの時に、先生が、感じるままに想いを込めて振付けをしている時に、

そのクラスにいて先生の心を直接に感じながら振り付けを取るのと、

クラスを欠席していて、後から友達にその振付を教えてもらうのとでは、

同じ振付けなのに、踊る側としては、なんか違うんだなぁ~と感じるのと同じだと思う。



特に芸術がらみでは、創造者の心と魂を込めた作品を受け継ぐには、

創造者を慕い、尊敬する者がいつも横にいて、

その創造者の想いを全て込めた ”生の心と声” を直接、聞き、感じる事で

受け継ぐという言葉にふさわしいものになるんだと思う。

芸術じゃないけど、オリンピックの聖火だって、ギリシャの聖火を起こすスタートの時から、

その生の火の重要性と心を世界中の人が引き継ぎながら、

遠い海を渡って、聖火台に点火されるからこそ

大きな意味があり、世界中の人々が感動するのだと思う。

あれが、ギリシャで火を起こすことも、聖火ランナーもなく、

最終の聖火台で東京ガス会社が点火したら、、、

もう東京オリンピックは、カリカリに乾いた精神の祭典になっちまう。



長々と前置きを書いたけど、やっと本題に入る。

日本のフラメンコの歴史の一部をずっと支えてきた、エル・フラメンコが

もう何日か後には、永遠に閉店してしまう。

でも、このエル・フラメンコが無くなってしまわないように、

実に多くの方々が存続のために動き、署名を集め、大変な苦労と努力をなさったと聞く。

私も、エルフラが閉店することを聞いた時に、

何としても、このエルフラを引き継ぐ人や会社が出てきていただけたら、と願っていた。

そして有力候補の方々のお名前を聞き、署名の数も耳にし、

これなら存続は大丈夫かなと思った時に、

エル・フラメンコ側が、この「エル・フラメンコ」の名前だけは

絶対に譲らないという噂話を耳にした。



その時に、あのアルヴィンエイリーを思い出したのだ。

エル・フラメンコが築いてきた、50年というすごく長くて、

そして経営的に厳しかった時も、闘いながら乗り越え続けて

日本でのフラメンコの歴史の大きな一部を支え続けてきた、

その誇りとその歴史は、きっとエル・フラメンコに直接、

ずっとずっと携わっていらした方々の、経営魂でもあり、

フラメンコに対しての芸術魂でもあり、

それを考えたら、「エル・フラメンコ」の名前は譲らないという

お気持ちが、理解できるような気がしたのだ。

(これは、実に勝手な私だけのウルトラ偏った考えなので、

それは違う!と、言いたくなった方は読み飛ばしてください)


エル・フラメンコを受け継ぐのなら、エルフラを支え続けた方々と、

”エルフラ魂” を燃やし続け、”エルフラ経営魂” を共に分かち合い、共に過ごし、

そして今までのエルフラと全く同じ魂と器を受け継がなくては、

エルフラを愛し続けてきたお客さんは、きっと直ぐにそれを感じて、

「なんか違うんだよな」という言葉と共に少しずつ遠ざかってしまうと思うのだ。

だからこそ、秋からオープンが決まった、このエルフラの跡地に入る

新しいフラメンコのお店が、エルフラと全く違うもので、

内装も変えてスタートする事となった事を耳にして、正直ホッとしたのだ。

「エル・フラメンコでなく、新しいお店の誕生で良かった」 と。

新しいフラメンコのお店が、エスペランサや、アルハンブラや、

サラ・アンダルーサでもない新風をふかせて、日本でのフラメンコの歴史に

また貢献してくださるのを、心から楽しみにさせていただこうと思う。



これで、本当に、「エル・フラメンコ」 が終わる。

明後日のエルフラでのラストライブでは、

エルフラを一生忘れないように

ステージからの 景色も 音も

客席からの 景色も 空気も

全てしっかりと 目と耳に焼き付けようと思う。

               
      
                 8月26日





















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by amicielo33 | 2016-08-26 19:59  

     疲れたけど面白かった舞台「カルメン」

8月4日から7日まで公演された、舞台「カルメン ドン・ホセの告白」。

やっと、やっと終わったぁぁぁ!!!

本当に大変だった! 本当に疲れた! でもたまらなく楽しかったぁぁぁ!



振付家の上田遥さんが、今回は演出も行い、

主役は、『ダイアモンド☆ドッグス』 というカッコいい7人組の男性たち、

そしてバイオニストの川井郁子さん。

それに、中国からの特別ゲストの 宗唅(しゅう・はん)さんや

さらにクラシックバレエ界からや、私はフラメンコ界から、などなど、

毎回上田遥さんは、様々なダンスと音楽のコーポレーションで舞台を創り、

お客さんを楽しませてくれるのだけど、

今回は、生演奏のバイオリンをしながら川井郁子さんはカルメン役をこなし、

ダイアモンド☆ドッグスのリーダーである東山義久さんがホセ役。

カルメンの夫役に、ダイアモンド☆ドッグスの、森慎吾さんが、

強烈な個性をブッ飛ばしたキャラクターでお客さんを魅了し、

カルメンのストーリーを、今回は新しい発想で演出され、

演奏あり、踊りあり、演技あり、歌あり、で、実に盛りだくさんに舞台が繰り広げられた。




この舞台稽古は、7月11日から始まり、3週間でゼロの状態から全てを創りあげ、

本番は、8月4日(木)~7日(日)までの計6公演で、

草月ホールは全て超満員。

劇場は、ダイアモンド☆ドッグスの熱いファンの方々でも溢れかえり、

でも、単にキャーキャー言うミーハーのファンではなく、

落ち着いたファン層だったので、応援の心が強く温かく舞台に伝わり、とてもいい感じだった。




それにしても、お稽古開始日から本番が終わるまでの約1ヶ月弱の間、

いやはや、本当に、本当に、本当に大変だった。

もちろん休みなどなしで、毎日最低4~5時間はお稽古場に缶詰。

私はさらに自分のクラスがあるので、毎日ダッシュで帰り、

夜遅くまでクラスをやって、寝て、すぐにカルメンのお稽古、という繰り返し。

そして毎日、毎回、毎時間、次々と踊りや演出面で、注文がノンストップで出されるし、

フラメンコとは関係ない動きや踊り、演技、歌をマスターしなくてはいけないし、

かなりの場面展開毎に様々な手順があるので、それに追われまくられ、

頭も体も極限にパンパンになってしまった。




ところで、、、

実を申し上げると、ダイアモンド☆ドッグスというグループを、失礼ながら私は存じ上げず、

若い男性たちで、お化粧もバッチリしているチラシの写真を見て、

お稽古で顔を合わせるまでは、チャラい男性グループかと思っていたのだ。(ゴメンね~!)

ところがドッコイ!と~~~~んでもございません!!!


彼らの頭の回転の良さと早やさ、どんな複雑な踊りの振付も、1発で覚えるし

振りを覚えるだけでなく、その瞬間に、演出家のやりたい事を全て把握して、

次々とムダなく動き、全て臨機応変に対応し、

踊り以外、演技も、間の取り方も、自ら的確に入れていくのには、

もう完全に脱帽もの。

フラメンコのパルマも、バストンを使ってのリズムだって、

なんと、1発でコンパスを理解して、1回理解したら、もうそれ以降、絶対に崩れない。

安定したコンパスを絶対に入れてくれるので、コントラも実に楽に入れる事が出来る。

とにかく、「1発で何事もマスターしてしまう」 のだ。



ちょっと、ちょっと~~、なんでそんなに全て出来ちゃうの? と

私が理解できずにアタフタする度に、必ず優しく説明してくれるトシくん(小寺利光くん)は、

「いや、そうしなきゃいけないし、そうするのが当たり前だから」 と。

毎日、ダイアモンド☆ドッグスの彼らの賢さに感心するばかり。

彼らが作る音楽も、歌唱力も、演技力も、ひたすら感心するばかり。

そんな彼らと一緒に踊り、演技し、何場面かはミュージカルのように歌って、

いやぁ~本当に楽しかったなぁ~。

バイオリニストの川井郁子さんも、心の全てをバイオリンの音で表現して、

本当に素晴らしいの一言!美人だし、カルメン役にバッチリ。

ホセに抱きかかえられ、のけぞって、よくあの態勢で、

あの素晴らしいバイオリンを演奏が出来るもんだ。 




全員が、本当にハイレベルのアーティスト達ばかりなので、

ミスというものは決して許されなく、気が抜けない。

でも、緊張の中とはいえ、男性たちのユーモアとイタズラに溢れ、笑わずにはいられない。

大変なお稽古だったけど、素晴らしいアーティスト達の演奏、踊り、演技を、

思う存分に見て、聞いて、味わって、楽しませてもらった。

そうして本番に突入し、

本番で、全員の熱い気持ちと爆発力が加わるのだから、

そりゃ当然、楽しくて面白い舞台になるに決まってる。




いつまでここに掲載できるのかわからないけれど、

朱さんを追って、中国からテレビ局がお稽古の初日から密着取材をして、

お稽古風景や本番も、中国放送を通して全国に放映された。

その様子を見てくださ~い。

https://m.v.qq.com/page/o/l/b/o0319ecl8lb.html?coverid=&from=timeline&isappinstalled=1



さぁ、これで今月末のエル・フラメンコのラストライブに集中します!

まだ疲労が頭に残っているので、まとまりのないブログでごめんなさい!


                                    
                            8月11日
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by amicielo33 | 2016-08-11 19:37